サンアントニオ・スパーズが2021-22シーズンの開幕を迎える前、あちこちでいろんな憶測が飛び交っていました。
そのほとんどはネガティブなものでした。
Twitterではスパーズについて、ポップの歴代勝利記録まで届かない、30勝は絶対いかない、タンクシーズンになると言っていました。
また評論家にはリーグで最も戦力不足のロスターだと記事で書かれていました。
しかしシーズンが終了したとき、スパーズはその悪い予測に逆らって、ウエスタンカンファレンスでトップ10のチームとして終了しました。
2シーズン連続で勝率5割を下回ったことは残念ですが、今シーズンのチームは過去2シーズンよりもはるかにポジティブな要素が多いシーズンでした。
スパーズは昨シーズンのプレイイン・トーナメントへ進出チームと比較すると、選手の改善からチーム全体の底上げまで、多くの進歩を遂げました。
このようにスパーズは完全な再建シーズンとなる予想から、どのように多くの人を驚かせたのかを見ていきましょう。
1. ペースを劇的にアップさせた
スパーズは今シーズン大幅に試合のペースを引き上げました。
1試合のペースの速さでトップ5を記録しました。
また今シーズンの1試合あたりの選手の総移動距離、移動速度ともにNBA1位です。
シーズン終了時のスターティングメンバーは平均年齢22.6歳と非常に若く、ラン&ガンスタイルへシフトすること理にかなっています。
昨シーズンのスパーズは1試合平均ポゼッション数が98.9でしたが、今シーズンはNBAで5番目に多い100.0という数字でした。
その結果、平均得点は最終的には113.2とリーグ8位となりました。
これは1試合平均111.1点でリーグ20位に終わった昨シーズンのオフェンス効率からすれば、大きな進歩でした。
2.3ポイントに対するアレルギーが消えた
スパーズは長年3Pへアレルギー反応を起こしているかのように3Pを打ちませんでしたが、現代バスケに適応するために少しづつステップを進んでいます。
スパーズはまだ3ポイントの試投数でリーグで25位でしたが、3ポイントはオフェンスの威力を増しました。
スパーズの過去4年間と比較すると、1試合平均32本のアテンプトで25位を記録したことはよい傾向です。
過去を振り返ってみましょう。
- 2021-22: 32.0(25位)
- 2020-21: 28.4(30位)
- 2019-20: 28.5(28位)
- 2018-19: 25.3(30位)
- 2017-18: 24.1(27位)
スパーズはもっと3P成功率(35.2%:18位)でいい成績を残せたはずですが、これまで以上に多く3ポイントを決めたことは、現代NBAと逆行していた近年の傾向からするとうれしい結果でした。
その要因となった選手のリストを上げると、元々実績のあるマクダーモットとリチャードソンはもちろんですが、ケルドンのアウトサイドシュートの覚醒が大きいです。
終盤戦にマークがきつくなってくると一時成功率が落ちた場面もありましたが、 徐々に持ち直しました。
多少シュートチェックされても、ゆっくりとしたリズムは変わることなく効果的に沈めていました。
ケルドンのアウトサイドショットは来シーズンもチームの武器として機能するでしょう
今後アウトサイドシュートについては他にも改善が期待できる選手がいます。
また3&Dとして年々改善を見せているヴァセルはさらにアウトサイドシュートの精度を上げることで、よりオフェンスの効率が上がるでしょう。
3. クラッチタイムのディフェンスは大幅な改善も…
今シーズンはディフェンスの改善が今後期待できる内容でした。
特にディフレクションを多用したディフェンスでチャンスにつながるスティールが増えました。
スパーズは1試合のスティール数において昨年の22位から11位と改善しました。
その多くはマレーが記録しました。
マレーは14試合を欠場したにもかかわらず、平均スティール(2.0)と総スティール(138)の両方でリーグ 1位の成績でした。
そのためスタッツ上では、スパーズはディフェンスレーティングでトップ10チームであるべきでした。
スターターはヤコブとマレー、ホワイトという優れた対人ディフェンダーがプレイし、ベンチにはヴァセルとトレジョーンズなどディフェンスに定評がある選手が揃っていたため、ディフェンスレーティングはおそらくリーグ上位に入るだろう、と考えられていました。
しかしスパーズはディフェンスレーティングで112.3でリーグ16位、平均失点は113点で23位と予想を下回る結果となりました。
一貫性が無く期待を裏切ったチームとなってしまいましたが、これは必要な過程でした。
特に目立ったのが1度ディフェンスのローテーションが崩れると大量失点を防ぐことができなかったことや、シーズン序盤のクラッチタイムでのディフェンスの悪さでした
ただ良いニュースとして、昨シーズンよりもクラッチタイムでは良いディフェンス評価を記録していました
昨シーズンのスパーズはクラッチタイムのディフェンスに課題がありました。
100 ポゼッションあたり 111.7 ポイントの失点を記録していました。
それはリーグ19位の成績でした。
しかし今シーズンは100ポゼッション当たり105.0ポイントとリーグ10位の成績でした
このようにクラッチタイムのディフェンスでは非常に良い改善傾向がみられましたが、逆にオフェンスでは多くの課題が残りました。
クラッチタイムのオフェンスは100ポゼッションあたり92.7ポイントとリーグ最下位の成績でした。
その結果クラッチタイムの勝率は9勝20敗とリーグで29位の数字です。
このクラッチタイムでの成績はデマー・デローザンが大きく関与しています。
デローザンが移籍したことでディフェンスは改善しましたが、オフェンスでは悪化しました。
それでもデローザンの役割を引き継いだマレーが、シーズンが進むにつれてクラッチタイムで素晴らしいパフォーマンスを見せているので、今後非常に伸びしろが期待できる部分です
4. 毎試合高い競争力を維持した
ここ2シーズンのスパーズは見ていて非常にフラストレーションが溜まる試合が多く、 今シーズンより勝率が高かったとしてもブローアウト負けする試合も多かった印象です
ミドルレンジが得意な選手が多く、ぎこちないスペーシングでオフェンスはよく停滞しました。
またディフェンスは強豪時代の面影はなく、リーグ下位に沈むシーズンが目立ちました。
今シーズンは、スパーズはまだ時々ブローアウトされる試合もありましたが、毎試合高い競争力を持ってプレーが出来ていました。
スパーズは34勝48敗という厳しい成績で終わりましたが、平均の点差は+0.2を記録しました。
昨シーズンは、その数値が-1.74でした。
実際この点差はスパーズよりも良い成績だったクリッパーズやペリカンズよりも良い数字でした。
しかしシーズン序盤は厳しい現実に直面しました。
現在の若いチームは接戦に持ち込んだとしても経験不足や不安定なゲーム運びにより、クラッチタイムでほとんどの試合で敗れました。
幸いなことにシーズンが後半になるにつれてクラッチタイムでも勝ち切ることができてきたので、来シーズンはかなり良い見通しになるでしょう。
5. 美しいボールムーブメントが帰ってきた!
今シーズンは再びビューティフルゲームが帰ってきました。
昨シーズンは24.4で16位だった1試合平均アシスト数が、今シーズンは27.9でリーグ2位となった。
これはかなりの増加です。
その上アシスト・ターンオーバーの比率は2.19で、これはNBAの新記録となりました。
正しい判断で正しいプレーをすることについては長年サンアントニオスパーズの基盤となっていたシステムです。
ただ優勝シーズンの2014年以降は美しいボールムーブメントから少しずつ遠ざかっていました。
二人のエースのピックアンドロールやアイソレーションのコールが多くなり、徐々に中心選手への依存が増えていきました。
今シーズンはスター選手が不在だった影響もありますがチーム全体でパスを回し、規律の取れたバスケットボールが徐々に浸透してきています。
各選手達が正しい状況判断を理解し始めています。
特にマレーの9.2アシストに対して2.6ターンオーバーという驚異的な数字が、スパーズの基盤のシステムがいかに優秀であるか分かります。
またトレ・ジョーンズは3.4アシストに対して0.7ターンオーバーと素晴らしい成績を残しています。
スパーズの素晴らしいボールムーブメントは、コート上で見ていて楽しいだけでなく、オフェンス面でも多様性をもたらしてくれた。
また対戦相手のコーチ陣は、スパーズのオフェンスはボールがよく回りターンオーバーが少ないからゲームプランを組むのが非常に難しい、とよくコメントしています。
その結果スパーズはアシスト(2位)とターンオーバー(5位)の両方でトップ5で終わりました。
これは開幕前にスパーズが想定していた数字よりも多くの成功を意味します。
サンアントニオスパーズはこれからのオフシーズンで必要な選手を補強して、来シーズンも今シーズンと同様のプレーができればプレーオフ進出も十分可能だと思います。
そのためにも来シーズンは今年課題となっていた部分(ディフェンスのコミュニケーション、リバウンド、ロスターのサイズ問題、フリースローなど…) を重点的に改善して万全な状況で臨んで欲しいですね。
引用元:Air Alamo
引用画像:San Antonio Spurs Photo Galleries
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