NBAではシーズンごとに複数のヘッドコーチ交代が発生しますが、その多くは成績不振のチームや、スター選手の不満を鎮めるための動きであることが一般的です。
ところが2024年12月以降、6人のヘッドコーチが解任または引退という事態が起き、しかもそのほとんどが予想外のものでした。
解任されたのは、いずれも実績のある名将たちばかりで、表面的には「安泰」に見えていた人物ばかり。中にはプレーオフ進出チームの指揮官すら含まれていました。
■ 解任・引退が相次いだ6人のヘッドコーチ
コーチ名 | チーム | 処遇 | 時期 |
---|---|---|---|
マイク・ブラウン | キングス | 解任 | 2024年12月 |
テイラー・ジェンキンス | グリズリーズ | 解任 | 2025年3月 |
マイケル・マローン | ナゲッツ | 解任 | 2025年4月 |
マイク・ブーデンホルツァー | サンズ | 解任 | 2025年4月 |
グレッグ・ポポヴィッチ | スパーズ | 引退(病気) | 2025年5月 |
トム・シボドー | ニックス | 解任 | 2025年5月 |
■ “成績不振”では説明できない解任劇
これらの解任は、成績だけで判断するのは難しいものばかりです。
ニックス、ナゲッツ、サンズ、キングスは2023-24シーズンにプレーオフ進出を果たしており、グリズリーズはモラントの出場停止やケガ人続出による“実質Gリーグロスター”での戦いという同情の余地がある状況でした。
確かに、これらのチームは2024-25シーズンにおいて期待値に対して物足りない結果に終わったと言えます。
しかし、それはフロントのロスター構築の問題や、選手との人間関係の衝突が背景にあったとも言われています。
実際、ブラウン、ジェンキンス、マローン、ブーデンホルツァーに関しては、チーム内の不協和音やスター選手との衝突が噂されています。
中でも最も驚かれたのは、シボドーの解任でしょう。
彼は今季ニックスを21世紀初のイースト決勝進出に導いたにもかかわらず、チームは「優勝を目指すため」として解任を決断しました。
■ ポポヴィッチの引退と「若手ヘッドコーチ時代」の幕開け
ポポヴィッチの引退理由は脳卒中による体調不良であり、これは納得できる理由でした。
しかし、注目すべきは後任を含めた“新体制”の人選です。
現在、新たにヘッドコーチが発表された5チームの指揮官は以下の通りです:
チーム | 新HC | 年齢 | NBAヘッドコーチ歴 |
---|---|---|---|
キングス | ダグ・クリスティ | 55歳 | 0年(元AC) |
グリズリーズ | トゥオマス・イーサロ | 42歳 | 0年(ヨーロッパ出身) |
ナゲッツ | デイビッド・アデルマン | 44歳 | 0年(前AC) |
サンズ | ジョーダン・オット | 40歳 | 0年(前キャブスAC) |
スパーズ | ミッチ・ジョンソン | 38歳 | 0年(元AC・ポポ後継) |
5人全員がNBAでのヘッドコーチ経験ゼロであり、4人はシーズン中に前任者の代理を務めたインターンコーチ出身です。
そして全員が40代〜50代前半という若さ。まさに「新世代の到来」と言える人選です。
スパーズの後任ミッチ・ジョンソンも、長年ポポの下でアシスタントを務めてきた内部昇格組。
これはポポの意思を継ぐ形で、組織としての“継続性”を重視した結果とも言えるでしょう。
■ なぜ“経験ゼロ”のコーチが選ばれているのか?
プレーオフや優勝を狙うチームが、なぜ実績のない新人をヘッドコーチに抜擢するのか。
この傾向には以下の2つの背景があると考えられます。
① 選手との関係性・内部の継続性を重視する時代
現代NBAは選手主導のリーグです。選手から信頼されているアシスタントを昇格させることで、ロッカールームの安定とパフォーマンスの向上が期待されます。
ヘッドコーチ交代の原因が“戦術”ではなく“人間関係”にある場合、この対応は理にかなっています。
② “オールドスクール”なスタイルは限界に来ている?
トム・シボドーのような「ベテラン・頑固・重労働型」のスタイルは、現代のNBAでは敬遠されつつあります。
スターターを酷使し、ローテーションも固定的なスタイルでは、シーズン終盤に選手のコンディションがもたないという批判も根強いです。
実際にシボドーのチームは、プレーオフで失速する傾向がありました。
■ 変化の波は止まらない。時代は“若き指揮官たち”へ
コーチのキャリアは選手より長く続く傾向にありますが、いずれ終わりは来ます。
たとえ伝説のポポヴィッチであっても、それは例外ではありませんでした。
今後もNBAでは、リック・カーライル、エリック・スポールストラ、スティーブ・カーといった“旧世代の最後の砦”を除けば、新たな指導者が次々と生まれていくでしょう。
選手だけでなく、コーチ陣にも“世代交代”が訪れている今──
もしかすると私たちは、NBAの新たな時代の幕開けを目撃しているのかもしれません
引用画像:San Antonio Spurs Photo Galleries
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